SSブログ

懸念される「民営化」の行く末 [社会]

  国会で郵政民営化法案が可決されたのを受け、いよいよ10月1日から「日本郵政公社」は「日本郵政株式会社」へ衣替えしました。つまり、これまで国営で行われてきた郵政事業全般が、民間会社の元で行われる事になったのです。

 発足して間もないこともありますが、都会に住む方々には今の所あまり大きな影響は出ていないようです。しかし、今回の完全民営化によって全国1048局の郵便局で集配事業が廃止されるなど、地方では早くも先行きに不安を感じている方々も多いようです。

 一部報道によると、北海道では民営化前に160局の郵便局で集配業務が廃止され、宗谷地方では配達地域が50キロも先になるなどといった極端な例も報告されています。公社化されて以降、ただでさえ郵便の「遅配」が発生し、問題となっているのにも拘らず、その上集配業務が統廃合されるとなれば更なる深刻な問題を引き起こす可能性が懸念されます。

 元々郵便業務自体、手間がかかるだけでとても利潤の上げられるような性質の業務ではありません。だからこそ国営で行われてきたのであって、これを民間会社に委ねる事はある意味「地方の郵便事業を絶滅させるに等しい」ような気がしてなりません。

 これら郵政事業全般の行く末を考える上で参考になるのが、今から20年前に分割・民営化された国鉄(日本国有鉄道)の動向です。大都市圏を抱えるJR東日本や、東海道新幹線を持つJR東海が順調に業績を伸ばす反面、過疎地域を抱えるJR北海道、JR九州、JR四国の「離島3社」は鉄道事業での経営だけでは成り立たず、多角化によって何とか乗り切ろうと模索しているのが現状なのです。

 しかも、不採算の「赤字ローカル線」は次々に廃止され、その結果、地方の過疎化は益々深刻の度を深めています。この上地方の郵便局が廃止されるようになったら・・・最早「格差社会」どころの騒ぎでは済まなくなるのではないか、と記者は考えます。

 ただ、忘れてはならないのは、このいずれの民営化も支持し、後押ししたのは我々有権者に他ならないのだ、という事です。換言するならば、今後郵便局が使いづらくなったとしても、それは「国民の選択の結果である」として甘受しなければならない時が来る、という事なのかも知れません。


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 1

コメント 2

筍ENT

本当に同感です。国鉄と言い、郵便局と言い、利益を追求する会社が運営したら、不採算部門を切り捨てるのは目に見えていますね。
そしてご指摘の通り、それに賛成してしまったのは他ならぬ我々国民な訳です。そしてさらに、国鉄や郵便局から見放される運命にある地方の人間は、なぜかいつも保守・自民党に諸手を挙げて支持しています。

その自民党が結果的に地方切り捨て、地域格差拡大を打ち出しているのに、なぜいつまでも自民党を支持しているのでしょうか。それともやっとこの矛盾に気付いて先の参院選の結果となったのでしょうか。

衆院解散時の地方票が見ものです。
by 筍ENT (2007-10-06 01:34) 

yokohamachuo

いつもご覧戴きまして有難うございます。
現時点に於いても表向きは「ユニバーサルサービスを堅持する」と標榜しているにも拘らず、実際は郵便業務の統廃合を進めている点を鑑みても、郵政民営化は必ず地方に悪影響を及ぼすでしょう。

それでも地方の有権者は郵政民営化を支持するのか、次回総選挙は要注目です。
by yokohamachuo (2007-10-06 22:02) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。