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再建を模索する地方百貨店 [社会]

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 本欄では以前から低迷する百貨店業界の様子を紹介してきましたが、4月20日付の神奈川新聞カナロコでは地元百貨店の老舗としても知られる「さいか屋」が大幅なリストラ策に着手している現状を報じています。

 経営改善に取り組んでいる百貨店さいか屋(川崎市川崎区)は二十日、川崎店と横須賀店に大型テナントの誘致を検討していることを明らかにした。フロアを丸ごと使う規模で探しているという。自前の売り場面積を大幅に縮小させることになり、希望退職の追加募集を実施することなども発表した。  決算発表の会見で岡本康英社長らが明らかにした。誘致するテナントの規模について三宅健一常務は「フロア全体を使った大型テナントを考えていきたい」と述べた。業種は「(現状の店舗構成の中で)弱い業種」(岡本社長)との説明にとどめた。  複数の建物から成る横須賀店では、現在二、三階を除いて閉まっている南館が有力。「上層階には、館全体に効果が見込めるような集客力のあるテナントを誘致できれば」としている。  さいか屋は二〇〇九年二月期に創業以来初めて希望退職者を募集。約二百人が今春退社している。追加募集の人数や時期は未定としているが、一〇年二月期決算までに二億円程度の経費削減を図る。所有する不動産の売却も進める。  また、既に横須賀店で実施している営業時間の短縮を、五月から川崎店と藤沢店でも実施する。閉店時刻を一時間前倒し、午後六時半までにする。岡本社長は「これまでのシフト制を廃止し、人件費の削減を図る」と述べた。光熱費も一割程度の削減を見込む。  さいか屋は昨年十二月に京浜急行電鉄を引受先に第三者割当増資を実施。約十億円を調達して経営改善に取り組んでいる。岡本社長は「今後は販促などを京急百貨店と協力して展開することも考えていく」と話している。
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 元々の発祥の地が横須賀であり、横須賀市民にとっては「百貨店と言えば、さいか屋」という位、地元に密着していた存在であっただけに、さいか屋の昨今の経営危機とも言える業績不振については、元横須賀市民の記者にとっても複雑な心境です。
 さいか屋の業績不振を端的に総括すると、「目まぐるしく変わる近年の景気変動の波にのみこまれてしまった」という一語に尽きるのかもしれません。しかし、会社自体が旧来型の営業姿勢に固執したことにより客離れを加速したという側面も否定できず、これを機会にあらためて経営戦略の見直しを迫られるのは最早避けられない所まで来ている、とも言えます。
 記者はさいか屋の業績不振が表面化してから度々川崎店を訪れていますが、本店でもある川崎店の客離れはかなり深刻です。とりわけ、川崎駅西口に「ラゾーナ川崎」が開業して以来、売り上げは大幅に落ち込んでおり、回復への打開策が見出せないような雰囲気さえ感じられます。

 このまま会社が沈み行くのを指をくわえて待っているのか、さいか屋はまさに瀬戸際に立たされていると言っても過言ではありません。
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きゅんぱち

百貨店でモノを買う事自体がステータスであった時代は終わったということでしょうな。
さいか屋は、きゅんぱちも横浜市民だった頃によく足を運んでましたよ。
記事の文面から斟酌するに、かなり、キツい状態なんですなぁ。
お写真の店内を見ても、各コーナーの店構えがもう古いですよね。
かつての「とりでとうきゅう」に似た雰囲気で、駅前の一等地に店を構えるにもかかわらず、「場末」な印象は拭えませんよねぇ。
といって、店内インテリアをリニューアルしたところで売上向上への変化が見込めなくなってきた、と。
この期に及んでアウトソーシングをやったところで、横須賀も川崎も飽和状態でしょうな。

駅前や電車内にいる、おそらくかつて百貨店を利用していたクラスの人々は、滅多に百貨店の袋を手下げている様子を見ないですよね。
自前のバッグをもつか、あるいは手ぶらですもんね。
ネット通販かクルマでの買い出しで、日用品から高級ブランド品まで全て賄える状況になってますから、
「品格とモノが欲しかったら百貨店まで来い」
的な発想では、もはや総スカンを食らうというのは常識になりつつありますよね。

ひとつ発想の仕方としては、
「モノを売る場」
ではなく、
「モノを見せる場」
「使うシーンを見せる場」
の提供があるかもしれません。
小物製品は雑誌やウェブでの紹介でわりと簡単に購買意欲が高まるが、耐久消費財になるような大型の商品は実際に実物を見なければ購買意欲があっても判断できないし誤る可能性が高いわけですな。
であれば、例えば「システムキッチン」ひとつとっても、ただ並べて御覧になってもらうのみならず、製品に通電給水して、実際に料理を作ってもらったり食事をしてもらえるデモンストレーションを顧客参加型でやってみる、と。
いわゆるかつてのショールームとは一線を画し、顧客参加型のイベント会場としていく、と。
で、購買意欲が高まったら、その会場で注文してもらえば宅配してもらうだけとなる、みたいなシステムの方が、気楽にして必要十分な顧客の購買意欲を効率的に高めることができると思うんですがね。

トーシロの発想ですけど(苦笑)。
by きゅんぱち
by きゅんぱち (2009-04-27 19:47) 

きゅんぱち

あと、話題がそれますが、森田健作 千葉県知事。
パチンコ疑惑も持ち上がって、いよいよ yokohamachuo さんが予測されていたような、間抜けな展開になりつつあるようですな(苦笑)。
by きゅんぱち (2009-04-27 19:55) 

yokohamachuo

いつもご覧戴きまして有難うございます。
さいか屋の場合、横須賀店、藤沢店に関しては同一地域に競合店が無い為にそこそこの実績を上げてきました。
しかし川崎店は、ただでさえ横浜・東京に挟まれて客足が伸びない状況下であった上に、ラゾーナに客を奪われた影響をもろに受け、今や”青息吐息”の状態にあります。

社員の間では「K店(川崎店のこと)は閉鎖されるのでは?」といった疑心暗鬼が漂っているようでもあり、今後が非常に気になります。
いずれにせよ、「もう従来型の営業を続けても未来は無い」ということだけははっきりしたような気がしてなりません。

尚、千葉県知事の件については、私も引き続き注目していきたいと考えております。勿論、千葉市長選も含めて(笑)。

by yokohamachuo (2009-04-27 23:05) 

nexus_6

ご訪問&niceありがとうございます。
各地の老舗百貨店は苦境に立たされているようですが、お客産が「ここでなくちゃ」と感じる何かが備わっているか否かが分かれ目ですね。
by nexus_6 (2009-04-27 23:52) 

筍ENT

さいか屋は、何となく名前は聞いたことがありましたが、写真で初めて見せて頂きました。
たしかにきゅんぱちさんのご指摘のように、やや古くさい商品展示でしょうか。

一部のフロアをテナントに、という手法は致し方ないでしょうか。
百貨店ではありませんが、私のよく行くダイエーは、1フロアがダイソー(100円ショップ)になってしまいました。
長崎屋の1フロアにドン・キホーテが入っているケースも聞いたことがあります。

果たしてさいか屋はどうなるんでしょうね。
by 筍ENT (2009-04-28 01:27) 

sarisari

さいか屋さん、地下の食品売り場は結構人がいるんですが、
地上階は閑散としているので、心配していました。
テナントは何が入るのでしょうね。
ダイソー、ユニクロ、マクドナルド、赤ちゃん本舗とか?
屋上にファミリーランドがあったんですね^^;。
知りませんでした。

by sarisari (2009-04-28 02:19) 

キャロロ

こんばんわ。記事を拝見する限りでは、さいか屋さんはもう百貨店
を継続する気がないように感じますね。テナント頼りの戦略や内向き
なリストラクチャリング(もちろん必要ではありますが・・・。)など、
社員で一丸となって消費者の感性に訴えようとする百貨店本来
の姿勢が感じられませんね。残念ながら、この記事の状態が続け
ば近い将来の結末が見えるようでなりません。( ̄▽ ̄;)!!ガーン
by キャロロ (2009-04-28 20:51) 

yokohamachuo

nexus_6様 ご覧戴きまして有難うございます。
おっしゃる通り、百貨店が生き残るのには価格帯の見直しと共に、「ここしかない」という個性的な商品や付加価値の提供が欠かせないのではないか、と私は考えます。
by yokohamachuo (2009-04-28 21:54) 

yokohamachuo

筍ENT様 いつもご覧戴きまして有難うございます。
百貨店の再生には、一にも二にもとにかく顧客に足を運んでもらうことが重要であり、大規模テナント出店はその為の一つの手段に過ぎません。

即ち、百貨店内部の意識改革がなされなければ、何をやっても上手くいかないような気がしてならないのです。
by yokohamachuo (2009-04-28 22:01) 

yokohamachuo

sarisari 様 いつもご覧戴きまして有難うございます。
ご指摘の通り、さいか屋の場合、食料品売り場は結構にぎわっている雰囲気もあるのですが、肝心の女性衣料品売り場は惨憺たるものです。

元々さいか屋は、呉服店からここまで成長してきたのですから、もう一度原点に立ち返り、どうすれば女性客を呼び戻せるのかを真剣に考えて欲しいものです。
少なくとも、現状のままではダメです。

by yokohamachuo (2009-04-28 22:06) 

yokohamachuo

キャロロ様 いつもご覧戴きまして有難うございます。
実は、社員の間でも「社長は事業を継続する気がないのでは?」といった疑心暗鬼が蔓延しているとの噂もあり、このままでは前途は暗い、と言わざるを得ません。

ただ、こうした厳しい現状は何もさいか屋だけに限ったことではないようで、百貨店業界全体の構造的問題でもあるようです。


by yokohamachuo (2009-04-28 22:13) 

李応

知り合い(男)が横須賀店でパートで働いていたのですが、4月にパートのままで外商になりました。

売り場に店員いないのにパートまで外商にしてたら、百貨店ではなく訪問販売の会社じゃん。とおもってしまいますよ。
by 李応 (2009-05-13 23:42) 

yokohamachuo

興味深い情報をお寄せ戴きまして有難うございます。

会社側としてみれば、「店内売り場で待っているだけでは客は来ないので、外へ出て客を呼び込んで来い」という意味で社員らを外商に送り出しているのでしょう。

それにしても、パート職員まで外商に駆り出すとは・・・・・。確かに、平成20年度の店別売上高を見ると、3店(川崎、藤沢、横須賀)の中では横須賀が最も売り上げが落ち込んでおり(前期比91.8%)、最早「のんびり構えていられるような状況ではない」という危機感が背景にあるのだと考えられます。

尚、さいか屋の件については、今月末以降に新たな情報を入手する予定ですので、そちらも併せてご覧戴ければ幸いです。

by yokohamachuo (2009-05-14 07:03) 

MIE

悲観論ばかりでつまらんので、
楽勝な話をしましょう。
K店は、まだもちますね。
ラゾーナができても、ラゾーナにないものが
K店にはあるのです。
そのため、一時的にラゾーナに行った客が
もどってきています。
以前ユニクロが入っていた時期もありました。
ユクニロ自体があまりみたことがない時期だったので、
新鮮でしたね。
でもいつのまにかダイソー百貨店の方に引越しして
ましたよ、ユニクロ。
あの手の店をあてにしていては、限界があります。
今はラゾーナよりも、駅ビルがリニューアルしたので、
こちらが込んでいます。
by MIE (2009-07-22 23:38) 

yokohamachuo

ご覧戴きまして有難うございます。

おっしゃる通り、悲観論ばかりでは未来が見えて来ませんので、今後は私も将来に向けた建設的な議論・主張をしていければなあ、と思います。
K店については、確かにラゾーナ開店直後は客足がかなり減ったものの、その後は持ち直しつつある、との話は私も会社関係者から聞いています。これはつまり、「ラゾーナの開店によってK店の存在意義が全く無くなった訳ではない」という証拠でもあり、工夫次第では生き残る道はあるのではないか、とも私は考えています。

いずれにせよ、K店のみならずY店やF店も競合他社が軒並み撤退する中、何とかここまで踏ん張ってきたのですから、知恵を振り絞って苦境を乗り切って欲しい、と願わずにはいられません。

by yokohamachuo (2009-07-24 18:47) 

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