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波紋が広がる「一冊の本」 [社会]

 

 10月21日付読売新聞でも報じられていますが、昨年の6月に奈良県で起こった放火殺人事件を題材にした草薙厚子氏の著書『僕はパパを殺す事に決めた』について、22日発売の週刊現代で経過説明の記事が掲載されるとの事です。

 この本には事件を起こした少年の供述調書がそのまま引用されている部分があった為、出版直後から当局(法務省)の勧告を受けるなど、記者もその行方には注目していました。

 結果として、著者の草薙氏に情報を漏えいしたとして鑑定医が逮捕される事態となり、出版元の講談社はその釈明を行うべく週刊現代に記事を掲載するに至ったようです(尚、この件については講談社HPでも公表されています→http://www.kodansha.co.jp/emergency2/)。

 ちなみに、記者は既にこの本を読んでいます。確かに、こうした本を出版する社会的意義は十二分にあると思う反面、更生を目的とした少年法に対する配慮が若干欠けていたのではないか、とも感じます。

 少年による重大事件が起こる度、「少年(加害者)の人権を守るべきか、被害者の人権を守るべきか」で議論が沸騰するのはいいとしても、結局”厳罰化”という方向ばかりに意見が集約されている現状については憂慮せざるを得ません。事件を起こした少年に罪の重さを認識させるのも勿論大事ですが、くれぐれも事件の要因や背景を見落としてはならない、と記者は考えます。


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筍ENT

この事件は供述調書を出版物にそのまま載せてしまったという問題と、鑑定医が漏洩したという問題も含んでおり、私はまだこの是非についてはよく考察出来ていませんでした。

一方少年の重大事件に対しても厳罰化の流れが止まらないことには危機感を持っています。
ただでさえ同年齢での精神的な成熟度が落ちてきていそうな現代にあって、低年齢者に対する厳罰化を進めることは決して正しくないと思います。
ご指摘の通り原因・背景の追及とともに、さらに厳罰ではなく少年の本当の更正を目指すべきだと考えます。
by 筍ENT (2007-10-22 23:29) 

yokohamachuo

いつもご覧戴きまして有難うございます。
この事件(鑑定医逮捕の件)については、私もなかなか判断し難い部分があります。
ただこの少年事件(放火殺人)については、当初明らかな”誤報”が罷り通っていたのは事実のようであり、だからこそ著者や鑑定医も「無理を承知の上で」情報を表に出したとも考えられますので、私はその点については評価したいと思います。

また、少年事件についてはおっしゃる通り「精神的な成熟度」を十分考慮すべきであり、社会復帰した際に二度と同じ過ちを繰り返させない事こそが何より重要である、と私は考えます。
by yokohamachuo (2007-10-24 16:36) 

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