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珍しい「クーデター」 [社会]

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 各紙でも一斉に報じられていますが、日経新聞は1月9日付けで広電社長、事実上の解任 駅前大橋線で孤立かとの見出しで、年明け早々の社長交代劇を詳細に報じています。

 広島電鉄は8日、越智秀信社長が取締役に降格し椋田昌夫専務が社長に昇格したと発表した。越智社長は就任から約2年半での交代となる。国土交通省出身の越智氏は大田哲哉元社長(故人)の遺志を引き継ぎ、最大の懸案であるJR広島駅前に直線で入る「駅前大橋線」の整備計画を推進していた。だが、車両の進入方法を巡り社内対立が表面化。越智氏は社内をまとめ切れなかったことが今回の突然の交代につながったとみられている。  社長交代は8日に開催した臨時取締役会で決定した。同日付で越智氏の事実上の解任を実施した。広電は発表文の異動の理由で「代表取締役の独断的な業務執行で会社組織の正当な業務執行に支障をきたしている」と、越智氏への不信感を表明した。  越智氏の解任は緊急動議ではなく、4日付の取締役会招集通知には「代表取締役の解職について」と記されていた。広電に近いある経営者は「越智氏は経営陣の中で孤立しており、社内でクーデターが起こりかねないと聞いていた」と話す。  越智氏は大田元社長が国交省から招いたが、社長に昇格する椋田氏も大田元社長の信頼が厚く、大田元社長は椋田氏が越智氏を支える経営体制を目指していた。椋田氏は鉄道、不動産、人事部門など幅広い分野を経験し社内外での人脈も広い。椋田氏の社長就任で、駅前大橋線など広電の経営方針が大きく転換する可能性がある。  越智氏が降格された今回の人事の直接の引き金となったとみられるのは、「駅前大橋線」の整備計画。現在、広島市中心部から遠回りして広島駅に入る路線を直線にして時間短縮を図る大事業だ。広島市の検討委員会は2010年から広電の乗り入れ方法を検討しており、高架方式と地下方式に絞り3月までに結論を出す予定だった。  越智氏は10年の社長就任当初から地下方式を主張。昨年末の日本経済新聞のインタビューでも、「高架方式は道路上に軌道を支える柱を設置するため駅前の交通が混雑する」と、地下方式のメリットを訴えていた。  だが、昨年12月の市の委員会では、複数の市議会議員が高架案を主張。広電の社内でも「事業費を抑えられる高架案が望ましい」とする意見も広がっていた。一方で、越智氏は「12年度中に基本方針を決めてもらわないと、予定している16年度末の完成に間に合わない」と焦りを募らせており、これが経営陣の中で孤立を招いた理由ともみられている。  広電は昨年、電車創業100周年を迎え、老朽化した路面電車の更新や古い車両を活用したレストランの開店などの記念事業を開催。「次の100年も市民に愛される企業にしたい」と話していた。記者会見を頻繁に開き、自ら事業について説明。メディアとのインタビューでも広報担当者を介さず単独で応じることが多く、「スタンドプレー的に見える部分があった」との指摘も多い。
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 昨今は少子高齢化の影響やマイカーの普及で地方私鉄の経営は悪化の一途を辿っており、取引銀行から経営責任を問われて社長を解任される例は少なくありません。
 しかし、比較的経営が安定している広島電鉄の場合は、少々事情が複雑なようです。上記記事によると「路線の高架化か地下化かをめぐる対立」「社長の独断専行」等といった背景もあるようですが、記者の視点からすると、そもそも国交省の天下りを経営トップに据えたこと自体が問題だったような気がしてなりません。

 いずれにせよ、今回のドタバタ劇が広島電鉄の今後にどのような影響を及ぼすのか、利用者の広島県民ならずとも気になるところです。

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