SSブログ

淘汰が始まった百貨店業界 [社会]

黒磯・郡山012.jpg
黒磯・郡山013.jpg
 報道によりますと、9月25日に行われた記者会見で三越伊勢丹HDは09年に全国にある一部店舗を閉鎖すると発表した、との事です。
 今回対象となった店舗は、池袋、武蔵村山、鹿児島、名取の4店舗です。26日付朝日新聞記事では「閉鎖店舗の地元では、驚きの声は意外に少ない」とも指摘されていますので、ひょっとすると三越と伊勢丹が合併した段階でこうした青写真が描かれていたのかも知れません。
 
 ちなみに、新聞報道でも指摘されている通り、「リストラの波」は何も三越だけの話ではありません。本欄でも紹介済みの横浜松坂屋(今年10月末に閉店)も然り、上記写真の丸井郡山店(今年の2月に閉店済み)などもまた然り、です。特に、地方店舗の淘汰は加速するばかりであり、朝日の記事では「将来は政令指定都市などの稼げる店しか残らない可能性もある」とのアナリストの声を紹介している位です。
 
 その言葉を裏付けるように、地方都市の現実は極めて深刻です。記者が現地へ出向いた事のある宇都宮市(栃木県)では上野百貨店が00年に経営破たんして以降、その影響は周辺商店街にも及び、追い打ちをかけるように03年11月に足利銀行が破たんした事によって宇都宮市周辺の商業地域の衰退は決定的なものとなりました。同様に、お隣の福島県内も福島市や郡山市の駅前商店街は文字通り「シャッター通り」と化しています(写真下は福島市の商店街)。
福島092.jpg
福島090.jpg
 では逆に、政令指定都市なら安泰かと言えば、必ずしもそうではありません。360万人の人口を抱える大都市の横浜市でさえ三越横浜店と三越上大岡店はとっくの昔に閉店し、横浜松坂屋が上述の通り10月で閉店に追い込まれているのですから、100万都市であろうと無かろうと百貨店の閉店は今後も容赦なく襲いかかって来るに違いありません。

 百貨店の淘汰が「時代の趨勢」と言うのならば、それはそれで仕方が無いでしょう。しかし、”投資銀行”という名のチンピラ・ハゲタカ集団だけが税金で救済され、地道に現物商売をする業界だけが消滅して行ったら、我々の生活は一体どうなってしまうのでしょうか?


nice!(5)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 5

コメント 4

筍ENT

いつも実際に現地に赴いての取材、感服しています。実際に目の当たりにされると、メディアの報道を介してより、生の現地の状況が把握できることと思います。見習わねばと思いつつ、かなわぬ現実があります。

それはさておき、地方のみならず都市部でもこうした大型小売店の縮小が続いているのは、ひとことで言えば不況スパイラルということでしょうか。経済学門外漢なのでわからないのですが、こうして消費が冷え込み、米国ではAIG、日本では大手金融機関のみが血税で救済される矛盾の露呈と言って良いのでしょうか。

政治学にも無知ではあるのですが、日本が目指して来た小さな政府=自由競争主義が極端に走ると、こうして一握りのカネモチのみを資し、その他多くの貧乏人、ひいては餓死者を大量発生させる。またもう一方の極端である共産主義はなぜか必ず独裁者を生み、一人の勝者とそれ以外の貧乏人、ひいてはやはり餓死者を発生させることになるのか、と考えています。

日本の政治の歴史が理想的なものであったとも思えませんが、その中庸を取って来たものが、米国に追随し、こうした百貨店閉鎖は極端な自由競争主義指向への警鐘ともとれるのか、などと想像を巡らせています。

素人ゆえの考えすぎか、こじつけかも知れませんが。
by 筍ENT (2008-09-28 12:02) 

キャロロ

平成になって以降、百貨店が多店舗展開を推し進めてきたツケが
出ているものと思います。その象徴はバブル崩壊がきっかけとなり
倒産した「そごう」。しかしその失敗を他の百貨店はどうとらえたのか
その後も地方進出の波はおさまりませんでした。その結果が今起こり
はじめているのでしょう。
私が思うに百貨店の存在価値は身近になかなか店がなく、ちょっと
敷居が高いくらいの方が価値があると思うのですが、現代の百貨店
はスーパーに毛がはえたようなものになってしまっています。百貨店
経営者には本当の自分たち存在意義をもう一度考えなおしてみて
もらいたいものです。株主の顔色ばかりを伺うもうけ主義の経営をする
だけでなく・・・。

by キャロロ (2008-09-28 13:02) 

yokohamachuo

筍ENT様 いつもご覧戴きまして有難うございます。

率直に申しまして、私も今日の状況については理解しかねる部分も多いのですが、「大規模小売店舗法」の改正による規制緩和策が過当競争を生み、こうした結果の一因になったのではないか、と考えています。つまり、金融緩和がバブル経済を生み、拡大路線に走った長銀や拓銀、足利銀が破たんするという構造に似ているのです。

いずれにせよ、結果の根本には必ず原因があります。どうしてこういう結果になったのかについて、原因をしっかり追求する事こそが肝要であると私は考えます。
by yokohamachuo (2008-09-28 19:06) 

yokohamachuo

キャロロ様 いつもご覧戴きまして有難うございます。

おっしゃる通り、百貨店業界が「規模の拡大」ばかりを重視し、敷居を低くし過ぎたのも一因であると考えられます。
それが証拠に、バブル時代に店舗拡大をしなかった会社の方が傷が浅かったのも事実であり、例えば神奈川県を拠点に営業を続ける「さいか屋」などは、売り上げが前年割れを続ける中でも何とか利益を上げています。

そう考えると、かつては名門百貨店と言われた(何しろ、三井財閥発祥の企業ですから・・・)三越再生の道は、ご指摘の通り「原点回帰」にあると私も思う次第です。

by yokohamachuo (2008-09-28 19:28) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。