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意外な抵抗勢力 [社会]

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 計画が発表されて以来、比較的順調に建設が進むかと思えた「相鉄・東急直通線」でしたが、意外な所から反対の狼煙(のろし)が上がったことを、4月25日付の神奈川新聞は報じています。

 2019年の開業を目指す「相鉄・東急直通線」の整備に反対する住民集会が24日、新駅建設予定地となっている東急東横線綱島駅(横浜市港北区)近くの温泉施設で開かれた。同直通線整備をめぐる反対運動の集会は今回が初めて。温泉利用者や地域住民ら約70人が参加した。  「綱島の自然文化(桃とラジウム泉)を守る会」の主催。同会の共同代表で、会場となった温泉施設「綱島ラジウム温泉 東京園」を経営する中村ゆう子さんは「温泉は天から与えられたもの。今も多くのファンに支えられている。なんとしても守りたい」と協力を呼び掛けた。  駅近くで喫茶店を経営する共同代表の菅谷伸一さんは「地下鉄や立て坑を掘ると、源泉が寸断されラジウム泉がわかなくなる可能性がある。ほかの地域での事例も少なくない」と指摘。「地域の貴重な自然資源を破壊していいのか」と主張した。  同直通線は、相鉄・JR直通線(2015年開業予定)の新駅(仮称・羽沢駅、同市神奈川区羽沢町)と東横線日吉駅(港北区日吉)を結ぶ新しい地下鉄(約10キロ)。独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が整備し、相模鉄道と東京急行電鉄が運営する。総事業費約2千億円。  鉄道・運輸機構は今回の集会について「開催することは知っているが、具体的な内容は把握していない。事業は計画通り進めさせていただきたい」(総務部)としている。
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 自称「地図マニア」の記者も、綱島に温泉があることは地図記号から知っていました。しかし、東急東横線の綱島駅がかつては「綱島温泉」という駅名だったことや、横浜市を代表する温泉地として駅周辺に多くの旅館があったことは、つい最近情報を集めて初めて知った、という次第です。

 確かに駅周辺を歩いてみると、西口は商店街やら住宅・マンションが密集している反面、綱島街道沿いの東口周辺には小さな旅館が点在し(と言っても、2,3軒程度ですが・・・)、今や綱島温泉の”最後の砦”とも言える存在の「東京園」には広々とした庭園があったりするなど、都心に近い割には結構豊かな自然環境が残されていたりもします。 
 そんな所に、降って湧いたように持ち上がった新線計画。しかも、横浜市営地下鉄グリーンラインが建設された際には沿線で地盤沈下が発生して開業が延期されるなど、周辺では地下鉄建設ですったもんだがあったばかりですから、一部沿線住民が困惑するのも無理からぬことでしょう。
 いずれにせよ、経済合理性(収支)の観点から見ても2千億円を投じる価値のある計画なのかどうか、じっくり検証してみる必要はありそうです。
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 ちなみに、記者も綱島へ出向いたついでに東京園の温泉に浸かって来ました。東京園の入館料は900円(但し、1時間30分以内の利用なら400円が返金されます。)で、広々とした館内と茶褐色のラジウム泉はなかなか気分が良く、綱島に住んでいる人が少しうらやましく感じた次第です。
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きゅんぱち

鉄道のようなインフラ大規模なインフラ整備には必ず反対勢力って出来るんですよね(苦笑)。
つくばエクスプレスの時も特に今で言う「柏たなか」駅から国道16号よりの高架建設予定地を所有していた地主が有名でした。
後は完成後に、今度は騒音をどうにかしろと守谷市内で反対運動が起こる体たらく。
どちらも「止ん事無き政治勢力」がバックについての運動であったことは言うまでもないわけですが、なにしろ客観的に的確な反対運動の目的に係るデータがまるで示されず、観念論と感情論のみでわあわあわあわあと騒ぎ立てるだけと言うお粗末なものですよ。
今回の綱島のケースも、ネット上だけでザーッとあたっていったものの、客観的に正確なデータは何一つ提示されていないようです。
現状では感情論に終始している。
ホントに綱島温泉を存続させたいなら、カネもノウハウもある東急を敵に回してはダメでしょう。
むしろ味方に付けて東急グループの力を借りて街全体の再開発を含めた将来というシナリオも考えられるところな訳で、それをハナっから選択肢としないで反対運動の狼煙を上げた時点で、なんともイヤな感じがしますね。
温泉なんて、関東ローム層の地質から言えば、別に場所を問わず1000〜1500mくらい掘れば、どこからでも沸いて出るわけで、これ自体別に不思議なことではないですよね。
なんともニオう所であります(苦笑)。
(^ー^)/
by きゅんぱち (2010-05-04 23:25) 

yokohamachuo

いつもご覧戴きまして有難うございます。

この手の話に感情論はつきものであり、確かに今回の件では反対する根拠に乏しい面も散見するようです。
今回の反対論は、要するに「東横線沿線住民にとって殆ど利益が望めず、単に騒音と環境破壊だけが持ち込まれる計画に過ぎないから」といった理由から来るものだと思われます。

では逆に、計画を推進する側が具体的な根拠を示しているのかと言えば、非常に「マユツバ」です。大体、グリーンラインがいい例で、もっともらしい数値や根拠らしきものを示しておきながら、実際は目標の半分程度の利用客しかないのです。
とにかくこういった反対論が浮上した以上、鉄道・運輸機構は沿線住民から理解を得られるように、しっかり説明責任を果たすべきです。

個人的には、「この程度の計画に2千億円も投じるのは馬鹿げている。もし採算が取れるのなら、東急・相鉄・JRの3社で全額負担してやるべき」と考えています。

by yokohamachuo (2010-05-05 11:21) 

ドラもん

なるほど、私も綱島の温泉については知りませんでした。巨額の費用を要する事業ですから、いろいろな観点からの検証が必要ですよね。地下駅は乗り換えに苦労しますし、直通のメリットは運賃も絡んできますから。地域住民の皆さん、事業者の方々も意見交換が大切では。

グリーンラインが出来て、法事を頼むお寺へ行くのは便利になりました。横浜市交通局は民営化するべきだと思います。地下鉄駅職員、一部バス路線は、すでに民間会社に委託が進んでいるようですが。
by ドラもん (2010-05-05 19:27) 

キャロロ

綱島がそのような地だとは知りませんでした。一度は訪れてみたく
なりました。温泉を気持ちよく感じるためにもあまり暑くならないうちに。^^
by キャロロ (2010-05-05 20:36) 

yokohamachuo

ドラもん様 いつもご覧戴きまして有難うございます。

約5千億円にも上る累積債務を抱える市営地下鉄の問題は、横浜市にとっても「悩みの種」になっており、民営化も選択肢の一つとして検討すべき、と私も考えます。

このままいけば、市営地下鉄の累積債務を解消するのに100年近くもかかるのではないか、ともウワサされるだけに、多額の税金を投入してまで新たな地下鉄を作る必要があるのかどうか、県も市も慎重に検討すべきなのです。

もっとも、県は「職員の不祥事をどうやってもみ消すか」で手一杯のようですが(笑)。

by yokohamachuo (2010-05-05 22:16) 

yokohamachuo

キャロロ様 いつもご覧戴きまして有難うございます。

綱島温泉「東京園」は、10:30から丸一日利用しても900円と割安なので、私が行った日も地元の人が大広間でカラオケに興じたり、昼寝をしたりしてのんびりくつろいでいました。
その割に、肝心の風呂は空いていたりしますので、夏場でも結構涼しい気分を味わえそうです。

by yokohamachuo (2010-05-05 22:25) 

きゅんぱち

やはり、今回表沙汰になった「抵抗勢力」は、言い方は悪いが、いわゆる「鉄砲玉」でしょう。
「抵抗勢力」が最大限に勢力を誇ったとしても、国の御墨付きが得られた以上、小田急複々線化に係る裁判事例を見ても、計画が白紙撤回になる可能性はないわけで、となると、この方々の目論みは補償問題に持ち込む以外にないというところでしょうね。

>2千億円を投じる価値のある計画なのかどうか、じっくり検証してみる必要…

たしかにおっしゃることそのものはいちいちごもっともな正論ですし迅速にディスクローズしてなければ利用者も納得しないはず。
そこで出てきた金額分を「反対勢力」にしてみれば補償金の根拠にするんでしょうから。
ですが、これは、今の時点ではなんとも読みようがないですな。
たしかに、ゼロ構築の新規路線であった、つくばエクスプレスが総事業費1兆円弱であるのと単純な比較すると営業キロ単位に地価偏差を換算しても、割高ではあります。
そういう視点で yokohamachuo さんのおっしゃるように、投資回収効率を踏まえた検証は数字としてはじかなければ、上場企業としての説明にもなりませんからね。
実はいま一番注視すべきは相鉄の鉄道事業の行方だと考えてます。
少し前にかなり大掛かりなストライキを予定し、結局は中止になり利用者にとってはコトなきを得た、と言う件がありましたが、あれは会社側が鉄道事業子会社の分社をしようとして、そのやり方を巡って労組と対立したものです。
この背景に、JR・東急との相互直通運転開始後に相鉄自体が鉄道事業から撤退し、高く買い取ってくれる鉄道事業者に「切り売り」する算段があるというシナリオがあるからです。
鉄道・運輸機構による整備という方法論は、得てして少子化による利用者減を見据えた鉄道事業の整理・合従連衡という名の地殻変動を加速化させるものとなりましょう。
その結果、誰が得をして誰が損をするのか。
横浜市もこの一連の相互直通運転発表に係るドタバタ劇にかなり横ヤリを入れてくるぐらいですから、市営地下鉄の損失補填源を求めんとばかりに(大苦笑)、動きが迅速なのも妙にうなずけるといったところ。

既読と存じますが、私の愛読するブログ「鉄路的部落」から、関連する記事をご紹介しておきますね。

相鉄ラプソディ
http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2009/06/post-1d44.html

東急相鉄相互直通、横浜市の横暴相鉄の涙
http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2006/05/post_aa74.html

相鉄とJR東日本の相互直通大臣認定
http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2006/06/jr_7828.html

引き続き yokohamachuo さんの記事を楽しみにしております。
(^ー^)/
by きゅんぱち (2010-05-12 05:35) 

yokohamachuo

相鉄が分社化を巡って労組ともめていたのは承知していましたが、鉄道部門を切り離さんとする”思惑”については知りませんでしたので、参考になります。

それにしても、沿線住民や利用者からの要望が一番強いのは「小田急本厚木への相鉄乗り入れ」なのであり、そうしたやるべき努力をせずに地下鉄建設に固執する神奈川県の対応については、私は理解に苦しむ所です。

本件についてはどこまで追い続けられるかは分かりませんが、今後とも継続的に注視していきたいと考えています。

by yokohamachuo (2010-05-13 11:56) 

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